ちえの木の実の本棚
たくさんの物語に手をのばせる本の森のなかから、これぞ!という本を選りすぐった「ちえの木の実の本棚」を覗いてみてください。
目であるく、かたちをきく、さわってみる。
- 著者
- マーシャ・ブラウン/文・写真 谷川俊太郎/訳
- 出版年
- 2011年
- 出版社
- 港の人
- 定価
-
1,650円(税込)
『3びきのやぎのがらがらどん』など数多くの昔話絵本を手がけるマーシャ・ブラウンが、自然のなかから見出した表情ゆたかな動物や植物、風景などを写真に撮りました。心動かされた1枚1枚の写真に、彼女の瑞々しいことばが添えられ、それを詩人、谷川俊太郎が訳した写真絵本です。お互いにそっと手をたずさえ、いっしょに森のなかを散歩しているかのように紡がれた写真とことばが、なんとも美しく、2人だからこそ生み出された、この上ない一冊です。
みること
それは 目で あるくこと
あたらしい せかいへと。 (「目であるく」より)
かたちはかたりかける。
ことばよりも すばやく
かたちは おしえてくれる、 (「かたちをきく」より)
さわることは
せかいを かんじること。
さわることは
せかいが かんじること。 (「さわってみる」より)
なにかを感じずにはいられない写真の数々。こう語りかけているに違いない!と耳をすますと、マーシャと被写体との会話が聞こえてくるような、息のあったことばたち。
不思議だな、なにかに見立てているのかな?なるほど、視点をかえるとかたちがみえてくる!
ことばをまとった写真のなかに入っていくと、人間の存在はちっぽけで、風が生みだす美しい表情や小さな虫のたくましい存在感、動物の気配に満ちた様子に、なんだか胸がコトコトと高なるのを感じます。
きっと、マーシャ・ブラウンも同じように感じていたから、それが読者にも伝わってくるのでしょう。
なんでもない日々を「目であるくこと」で、今まで感じなかった世界が見えてきます。そして、五感が目を覚まし、心と体が躍るような体験で満たされる。
そんな感覚があざやかになる絵本を片手に、いつもとは違うまなざしで道端にある小さな自然を眺めるのもよいですね。
