ちえの木の実の本棚
たくさんの物語に手をのばせる本の森のなかから、これぞ!という本を選りすぐった「ちえの木の実の本棚」を覗いてみてください。
やさいのおにたいじ
- 著者
- つるたようこ/さく
- 出版年
- 2020年
- 出版社
- 福音館書店
- 定価
-
1,320円(税込)
このところ、おそろしい「こんにゃくいも」の鬼が山から降りてきては、若い娘たちを連れ去っていました。お屋敷に住む「ひのなひめ」も、お供の「くわい」たちの必死の守りも叶わず、鬼に連れ去られてしまいます。
去らわれた娘たちを助けるため、知恵と勇気のある6人が鬼の住む東の山へと向かいます。
その6人とは、
かたい かわを きた たけのこ
かおりの いい まつたけ
まんまるおなかの かもなす
ふさふさあたまの みずな
まっかな からだの きんときにんじん
きのように ふとい ほりかわごぼう
なんだか聞きなれない野菜がありますね。
そう、このおはなしは京の都が舞台。鬼退治の伝説「酒呑童子」をもとに作られ、登場人物が京野菜になっています。
道中、橋を渡れず困っていた「ししがたにかぼちゃ」のおじいさんを助けました。
助けてくれたお礼に、とお酒をもらいます。
それは、いい人が呑むと力が湧き、悪い人が呑むとたちまち力が無くなる、という不思議なお酒。
きっと酒好きな鬼の役に立つはず、と。
鬼の屋敷に着いた6人。
次から次へと出てくる見張りの毒きのこや野菜たちを、ひらりひらりと軽妙にかわしながら、屋敷の奥へと進みます。
とうとう、鬼と対峙した「たけのこ」。
強さを見せつけるだけの鬼と、泰然自若な大将「たけのこ」の勝負は、なんとも痛快!一目瞭然!二番手「みずな」のアシストはお見事!
はんなりとした京ことばと、表情豊かに描かれる京野菜たち。絵巻を思わせる場面展開のもと、何度も読んであらすじは分かっていても、ページをめくる度に心躍り、クスッと笑みが出てきます。
絵本を閉じた後も、美味しいものを食したときのような、ふくふく感で満たされます。そんな余韻も味わってもらいたい一冊です。
