ちえの木の実の本棚

たくさんの物語に手をのばせる本の森のなかから、これぞ!という本を選りすぐった「ちえの木の実の本棚」を覗いてみてください。

ふたごのしろくま くるくるぱっちんのまき

著者
あべ弘士
出版年
2012年
出版社
講談社
定価

1980円(税込)

こおりのしまに住む、2匹のふたごのしろくま。そして、かれらに寄り添うかあさんぐま。
 かあさん あそぼ
 かあさん なに してるの
かあさんは、あざらし狩りに夢中。
子どもたちは、あそびに夢中。
子どもたちはかあさんの目を盗んで、トットコトットコ、どこかへ行ってしまいます。

そこで見つけたのは、ねむっているだれかさん。
おひげがくるくるで、おもしろい! 寝てる間にいたずらしちゃえ!
 くるくる ぱっちん
 くるくる ぱっちん
ちゃあんとかあさんに報告しましたよ。くるくるぱっちんがいたよ、って。
さあ、このだれかさん、かあさんはどっきりするかな……ひやっとするかな……。

極北の氷の世界の、なんともおおらかで、なんともあたたかいある日のお話。
かあさんのしろくま1匹に、ふたごの子ぐま、というのは、私たちにとってより身近なクマ(ヒグマやツキノワグマ)の光景と重なります。
なんと、シロクマ(ホッキョクグマ)は、何十万年前、祖先のヒグマから枝分かれしたといわれています。
かあさんは1匹で狩りをして、子どもたちを守り、立派に育て上げるのです。
子どもたちの無邪気な姿は、2匹となると、倍の破壊力! 目も耳も手も2つでは足りずに、倍の4つないと、この子たちを捕まえられそうにありません。
でも、4本の手の強さくらいの寛大さで、やさしく抱きしめているように見えます。

地球の環境問題に巻き込まれて、悲しいことにかあさん1匹に対して子ぐま1匹、という未来もそう遠くなさそうです。
いつまでも、こんなに笑いあふれる3匹のシロクマの親子を見ていたい。
そうしたら、子ぐまたちの溌剌と駆けてゆく姿に「くるくる ぱっちん」と思わずテロップをつけて、また笑いだしてしまうかもしれません。