ちえの木の実の本棚
たくさんの物語に手をのばせる本の森のなかから、これぞ!という本を選りすぐった「ちえの木の実の本棚」を覗いてみてください。
のはらうた絵本
のはらむらに住む仲間たち、のはらみんなの代理人、工藤直子さんが、散歩中に聞こえてきた「うた」を書きとめたのが『のはらうた』です。
人間も、動物も植物も、ともに地球に生きる仲間なんだよね。
風も海も、みんな、同じように、心があり、夢やよろこびがあるんだよ。と、教えてくれます。
ちょっと、こおろぎしんさくさんの声を聞いてみましょう。
さびしいよる こおろぎしんさく
くろいくろい よるの まんなか
つちの つめたさが
あしに しみとおると
なぜか はねがふるえます
なぜか でんわをかけたくなります……
こんなにも心がしくしくしながら、秋の夜長に鳴いていたんですね。秋になったら、ちゃんと虫の音に耳を傾け、ことばをかけてあげよう!と、温かな親しみが湧いてきます。
のはらみんなにはそれぞれ名前がついています。「かぜみつる」「ふくろうげんぞう」「いけしずこ」など。
一人ひとりの性格にぴったりな名前がついているからこそ、その名前を呼びたくなるのです。そして、その身近な隣人にエールを送ったり、なぐさめたり、一緒にうなずいたりしたくなるのです。
生きとし生けるものの声に寄り添い、両手でやさしくすくい取って集めてきた、工藤直子さんのやわらかなことば。そのことばを受け取り、のはらみんなの一番美しく澄んだ姿を描いたあべ弘士さんの画。まるで、ことばと画が、笑いながらキャッチボールをしているようです。
心を寄せることで聞こえてくる「うた」が、何でもない日々から、スキップしたくなるような彩りに溢れた日々へと誘ってくれるでしょう。
