ちえの木の実の本棚
たくさんの物語に手をのばせる本の森のなかから、これぞ!という本を選りすぐった「ちえの木の実の本棚」を覗いてみてください。
そりぬすみ大さくせん
- 著者
- マイケル・フォアマン/作 せた ていじ/訳
- 出版年
- 1999年
- 出版社
- 評論社
- 定価
-
1650円(税込)
大都会の一番高いビルのてっぺん。
なにやら不穏な空気が漂っています。
なんと、世界でよりぬきの大どろぼうたちが、どろぼう大作戦を企てているのです。
サングラスに白ひげ、揃いにそろってコワモテの彼らが盗もうとしているのは、そう、サンタ・クロースなのです。
クリスマス・イブの前の夜、もう空を飛んでいるサンタ・クロースが、巨大ロケットでさらわれました!
ところが、どうでしょう。
決行日が悪かった。悪すぎました……。クリスマス直前だなんて、子どもたちが、鈴の音に耳を傾け、いまかいまかと待っているときではありませんか!
南のかくれがで、何百という子どもたちの怒鳴り声が。
だだっ広い砂漠でも、怒った子どもたちの姿が。
ジャングル、東の山、あちらこちらで子どもたちの叫び声がこだまして、着陸ができないほどです。
「おてあげだ」
子どもたちの様子に、泣く泣く計画を断念する大どろぼうたち。
でも、失敗に終わったと思いますか?
思い出してくださいね。彼らは、今、みなサンタ・クロースに変装しているということを。
子どもたちの思いを裏切らないための仕事の準備は万端なんです!
さて、はじめてサンタ業をやってみた大どろぼうたち。
コワモテが、「やり遂げた」感あふれる清々しい表情を浮かべているではありませんか。
もしかして、この瞬間こそが、子どもに限らず、誰にでも平等に与えられるギフトなのかもしれません。
スリルも、ユーモアも、ぬくもりも一度に感じられる、そう、まるでクリスマスに贈られたいプレゼントのような1冊です。
