ちえの木の実の本棚

たくさんの物語に手をのばせる本の森のなかから、これぞ!という本を選りすぐった「ちえの木の実の本棚」を覗いてみてください。

こども文様ものがたり

著者
下中菜穂
出版年
2026年
出版社
平凡社
定価

1,980円(税込)

むかしむかし、そのまたむかし。
文様を「時の流れ」という視点から紐といていきます。
まずは、文様ってなんでしょう?
絵本のなかでは「かたち」とも表現しています。
身近な自然や生き物の姿を、願いや祈りとともにシンプルな「かたち」にまとめたものとも言えるのでしょう。
だからこそ、時代や文化を超えて直感的に伝わるのでしょうね。                

渦巻がよく描かれたのは、縄文時代。
日本だけでなく、ケルトやニュージーランドなど世界中の古い時代にも登場します。渦巻に何を思い、祈りを込めたのか、読み解いていくと、どんな物語が見えてくるのでしょう?
海を渡って遠い国から宗教やモノと一緒にやってきたのは、奈良時代。
なんと!はるばるエジプトやギリシャから、シルクロードを通って!
色や文様が位によって決められていた貴族社会で、その人を表すシンボルマークのように使われたのは、平安時代でした。
江戸時代になると、文様であそぶようになります。
どうやってあそんだかって?
文様や絵、文字を使って、そこに隠された言葉や意味を当てっこするあそび「はんじもの」など。
「宵越しの銭は持たない」気っ風のよさと、ユーモアたっぷりのお江戸には、地方からたくさんの人々が集まり、暮らしていました。着物やお店の暖簾、器など日々の暮らしのなかで文様があふれていたからこそ、それを言葉のように使ってあそんでいたようです。

絵本の最後には、切り紙あそびができるようになっています。
紙を折って、型紙通りに切って開く。すると、さまざまな時代の「かたち」が立ち現れる。日常のなかに隠れていた文様に「ここにも。あっ、ここにもいたんだ。」と気づきはじめ、時代ごとの暮らしぶりや考え方が見えてくるのだそう。
これは、やらねば!

伝統を継承しながらも、時代の気風に合わせて変化していく文様は、終わりのない物語を紡いでいます。
目に入ってくる情報が多い現代だからこそ、見えてくる文様ってなんでしょう?
まずは、切り紙あそびからはじめて、「かたち」とお友だちになるのもよいですね。