ちえの木の実の本棚

たくさんの物語に手をのばせる本の森のなかから、これぞ!という本を選りすぐった「ちえの木の実の本棚」を覗いてみてください。

きらきら

著者
谷川俊太郎/文 吉田六郎/写真
出版年
2008年
出版社
アリス館
定価

1210円(税込)

 きれいだね てんからおちてきた ほしみたい
 きれいだね とってもちいさい ほんとうは

小さな小さな結晶が、いくつもいくつも集まって、空から舞い落ちてくる「雪」になります。
雪の1粒だってうんと小さいのに、この『きらきら』が見せてくれるのは、雪の結晶の粒、粒、粒。
その姿は、2つとして同じものはなく、ミクロの枝や葉っぱや花を見ているみたいです。

 しずかにつもっていると やさしいけれど
 なだれになると おそろしい

詩人、谷川俊太郎さんのことばは、雪のようにふんわりやさしくもあれば、氷のように鋭くもあります。
雪だ、きれいだ、と舞い上がる気持ちにいったん蓋をして、自然の畏怖に向き合うこともできます。

「雪は天から送られた手紙である」と言い残した、中谷宇吉郎博士との出会いで、雪のとりこになったという科学映画監督・写真家の吉田六郎氏。
ここに厳選された約30点の結晶の写真には、凍えるような寒さの中の壮絶な撮影秘話があるようです。
天からの手紙、神さまからのおくりものは、美しい。けれど、はかない。はかないからこそ、美しい。
ことばと写真の共鳴する静かなひとときに、目を奪われ、耳を傾け、心を寄せたくなるものです。