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3月のおすすめ本①が本棚に仲間入りしました
*3月のおすすめ本①*
こんにちは。
まだまだ風は冷たいけれど、一歩一歩、確実に春が近づいています。
ふくらみだした蕾も、巣穴から飛び出してしまったアリも、「もういいかい? もういいのかい?」と様子をうかがっているかのよう。
別れや出会い、準備や出発。弥生という月は、その名のとおり「いよいよ」生まれる、動き出す、それを尊ぶ月なのでしょう。
小さな一歩、大きな一歩、軽やかな一歩、重々しい一歩……自分の一歩を、我が子の一歩を、心から応援したくなる『あるきだした小さな木』をご紹介します。
人生で2回、読みたい本でもあります。
出会いは、子ども時代に。再会は、子どもを送り出すときに。
深い深い森のなか、パパとママに守られて、幸せに暮らす「ちびっこの木」。
友だちの鳥や動物たちから聞く話は、おもしろくて、興味深くて、そのうちにもっともっと知りたい気持ちがふくらんでいきます。
にんげんって? 男の子、女の子って?
生まれたばかりの小さな好奇心は、大きな憧れや夢となりました。
そして、いよいよ自由への一歩を踏みだそうと決心します。
でも、どうやって?
それは いままで、ためしに あるこうとした 木が、
一本も なかったからです。
ほんとうに いっしょうけんめいに あるこうと おもった 木が、
一本も なかったからです。
自分に百本もの足(根っこ)があること、それらを動かして歩けることを知った「ちびっこの木」。
かんたんなことではないけれど、道の進み方を、人との距離のとり方を、考え抜いて自分のものにします。
まるでひとりのにんげんが人生を歩むように、自分の足を前に前に動かしたのです。
これは、ぬくぬくとした幸せな子ども時代から、自分の意志で、自分の力を信じて親元から巣立った、1本の木のお話です。
自由と独立、そして成長に欠かせないのは「愛情」だと、訳者の花輪莞爾さんはいいます。
ちびっこの木が、愛情を宿すことができたのも、人とのかかわり合いがあったからこそでしょう。
愛情とは、人と人、人と木、人と自然、その関係性の中で養われる、普遍的な価値でもあります。
今から約60年前に、フランスから日本に歩いてきたこの本が、時代や国境を越えても変わらない大切なことを、そっと教えてくれました。
(スタッフ 武本)
書籍名:『あるきだした小さな木』
出版社:偕成社
著者:テルマ=ボルクマン/文 シルビー=セリグ/画 花輪莞爾/訳
出版年:1969年
定価:1,540円(税込)
