グリムロック通りにある、グリムロックこどものいえに住んでいるウィリアム。
通りの雰囲気も、ウィリアムの表情も、なんだか暗くて寂しげです。
ある朝、通りに町の人たちが集まっていたので、外へ飛び出してみると、こどものいえの前にある木が刈りこまれ、すまし顔のフクロウができあがっていました。
夜のあいだに、まるで魔法のように。
翌朝、今度は別の木が、大きなネコになっていました。
それから毎日グリムロック通りの木は夜のあいだに変化し、人なつこそうなウサギ、きれいなインコと、朝になると次々に動物があらわれます。
新しい動物ができるたび、見にくる町の人たちは増えていきました。
そして、通りの雰囲気も、町の人たちの表情も、次第に明るく変わっていきます。
ある日暮れ時、ウィリアムは知らない男の人を見かけ、後をついて行ってみると……。
誰かのちょっとした思いやりで、顔を上げることができ、未来が変わる時があります。
知らぬ間に誰かに支えられていることに感謝しながら、自分がその「誰か」になることもできるのだと、信じさせてくれる絵本です。
|