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ちえの木の実

ちえの木の実の本棚

たくさんの物語に手をのばせる本の森のなかから、これぞ!という本を選りすぐった「ちえの木の実の本棚」を覗いてみてください。

くじらの歌ごえ

著者
ダイアン・シェルダン/作 ゲイリー・ブライズ/絵 角野栄子/訳
出版年
1991年
出版社
BL出版
定価
1,540円(税込)

リリーは、おばあさんのひざの上で、一心に耳をかたむけていました。
おばあさんが昔、くじらに会い、思いがけない「おかえし」をもらったおはなしに。
どうしてくじらに会えたかというと、くじらに「おくりもの」をしたからなのです。
これは、おばあさんにとっては大切な思い出。
リリーにとっては、くじらが夢に出てくるくらい、胸がふくらむようなおはなしでした。

真っすぐにおばあさんを見つめて、楽しそうにおはなしを聞くリリーと、幸せそうに語るおばあさん。
神秘的なおはなしをわかち合う2人の時間が、どれほどかけがえのないものかは、その笑顔から伝わってきます。

次の日の朝、リリーは、浜辺にある桟橋の上から、くじらへの「おくりもの」を海へ落とします。
おばあさんの時のように、くじらから「おかえし」してもらえることを願って。

夢のようなことでも、想い描いて信じていたら、その通りのこと……いえ、自分の想像を超えるようなことが起こるのではないか、月の光に照らされたリリーの表情を見ていると、そう思うのです。

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