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ちえの木の実

ちえの木の実の本棚

たくさんの物語に手をのばせる本の森のなかから、これぞ!という本を選りすぐった「ちえの木の実の本棚」を覗いてみてください。

かぼちゃひこうせんぷっくらこ

著者
レンナート・ヘルシング/文 スベン・オットー/絵 奥田継夫・木村由利子/訳
出版年
2024年
出版社
童話館出版
定価
1760円(税込)

なかよく暮らす2ひきのくま。
ある日、こぐまくんのお口からポロンとでてきたのは……なんでしょうね、なにかのたねです。
きんいろだいすきおおぐまくんと、ぎんいろだいすきこぐまくんは、たねを植えてみることにしましたよ。
月日はたち、芽がでて、茎がでて、ちいさなかわいい豆がぴょこり。
それはどんどんのびて、きゅうりの大きさどころか、犬小屋ほどに、そして家くらいに大きくなりました。

そうです! なにかのたねは、かぼちゃのたねだったのです!
しかも、ただのかぼちゃではなく、おばけみたいな、おおかぼちゃ。
さあ、2ひきは、おおかぼちゃの中におひっこしです。
「あれれ?」と立ち止まることがあっても、ちょっぴり慎重派のこぐまくんに対し、おおぐまくんは常に「〇〇も また たのし、〇〇すれば……」とアイデア派。
テンポのよい2ひきのやりとりは、ずんどこずんどこふくれあがるかぼちゃのように、お話を聞いている私たちの心もふくらませてくれます。

おおかぼちゃのおうちは、空へ、海へと、はるかな旅へ。
どんな季節でも、どんな場所でも、2ひきいっしょなら大丈夫。
2ひきを乗せたかぼちゃひこうせんは、ゆったりこぉ、ゆったりこ、とどこまでも飛んでゆきますよ。

今から50年前にスウェーデンで生まれてから、ゆったりこ~と長く親しまれているお話です。
ことばの魔術師、ヘルシングの詩を日本語にするのは大変、といわれていますが、ぷっくらこ、ふっくらこ、ゆったりこ、とリズムのよい日本語訳は声に出さずにはいられないほど。
わらべうた「ひょうたんぽっくりこ」の懐かしいメロディを口ずさみたくなりますね。
さざ波にたゆたう舟に乗ったような気持ちで、もしくは、大空に浮かぶ雲の上で大の字になった気分で、読み継いでゆきたい1冊です。

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