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ちえの木の実

ちえの木の実の本棚

たくさんの物語に手をのばせる本の森のなかから、これぞ!という本を選りすぐった「ちえの木の実の本棚」を覗いてみてください。

ねーずみ ねーずみ どーこいきゃ?

著者
こがようこ/文 降矢なな/絵
出版年
2018年
出版社
童心社
定価
1,045円(税込)

 「ねーずみ ねーずみ どーこいきゃ?」
 「わがすへ ちゅっちゅくちゅ」

小さなねずみさんがこちらを見ている絵と、手書きの文字でタイトルが書かれただけの、シンプルな表紙。
子どもはどんな反応をするかな?と思っていましたが、一度読んだらすぐに、何度も読みたがる絵本たちの仲間入りをしました。

単純でのんびりしたリズムの言い回しをくりかえす、わらべうた。
私はこのうたを知らなかったのですが、まるで以前から知っていたような懐かしい気持ちになりました。
ねずみさんの次にはうさぎさん、くまさん、人間の子……。
次々に登場しては親のふところへ飛び込んでいきます。
飛び込む時の言葉も、なんてまあかわいらしい響き!

この短い絵本の中に、親子の愛情がたっぷり詰まった世界が広がっています。
降矢ななさんならではの、裏表紙へ続くしかけにも心がほっこり。
(ちなみに、他にもシリーズで2冊あり、どの本も見返しに日本の伝統的な模様が美しく描かれています。それが小さな子にはかたつむりに見えたりして楽しいようです)

昔の農村では、働きざかりの若い父親母親は農作業をして、祖父母が赤ちゃんの面倒を見たり、8歳くらいの女の子が子守りをしたりすることも多かったそうです。
テレビなどない時代、お母さんだけでなく、おばあちゃんや子守りの女の子も、赤ちゃんをあやす時にわらべうたを歌うことが多かったのだろうなあと想像してしまいます。

絵本が手元にない時でも、このうたを子どもと一緒に歌って、「わがすへ」のところでぎゅーっとくっついてみたり。

日常の中でわらべうたを楽しむことで、先人たちの生活から生まれた素敵なうたが、伝わっていったらいいなあと思います。

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