雪子ちゃん、はその字のごとく、雪だるまの女の子。
雪をかためて作られた雪だるまの子、ではなく、正真正銘“野生”の雪だるまです。
ある豪雪の日に、雪子ちゃんは生まれ(空から舞い降りて)、たったひとりで逞しく生きています。
お隣に住むのは、画家の百合子さん。
そこには雑貨屋を営む、たるさんもよく来ます。
雪子ちゃんは、自分が生まれた「あの日」の物語を、百合子さんから聞くのがなにより好きなことでした。
おしゃべりしたり、トランプをしたり、のんびり暮らす雪子ちゃんの日常が描かれます。
雪子ちゃんの好物の四角いバター。
かまぼこ。
読書。
雪子ちゃんの好きな年越し。
雪子ちゃんをあたたかく迎える小学校の子どもたちとの学びや雪合戦。
冬眠ならぬ(夏だから)「休眠」。
雪子ちゃんが人間との暮らしのなかで、初めて体験すること、初めて芽生える感情。
そのすべては、まるで雪の結晶のようにキラキラとしています。
ひとりで生きているんだ、と誇らしげな表情も、ぶかっこうで眠っている子どもらしい一面も、思わず二度見してしまう愉快な雪子ワードも、どれもこれも愛らしさのかたまりです。
記憶の中にだけ存在するお父さんの
「こわいからといって凍りつくのは致命的」、
お母さんの口ぐせの
「とけちゃう前にすることよ」
は、人間にもあてはまる深い教えがあったりして……。
さて、まるくて小さなふわふわ雪子ちゃんを生み出した、もう一人の方は、銅版画家の山本容子さん。
下絵なしでリズミカルに彫る姿を想像しながら、軽やかさとしなやかさをもつ雪子ちゃんの生誕に拍手を送りたいです!
表紙にちりばめられた雪の結晶、表紙をめくると現れる花のじゅうたんに纏われている、雪子ちゃんの本はとても嬉しそう。
物語も、本の佇まいも、愛しくて仕方がなくなる、そんな童話を冬のひとときにどうぞ。
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