クリスマスになると、北の国に住む白うさぎの子、ましろは1番におくりものをもらいます。
おくりものは、サンタ=クロースが住んでいる北の国から順番に配っていくからです。
早速おくりものの大きなお菓子をペロリと食べてしまい、もっとなにかほしくなったましろはいいことを思いつきます。
そうだ、別のうさぎになってもう一度サンタ=クロースにお願いしよう!と、真っ白な体に炭をこすりつけて黒くしました。
そして、サンタ=クロースが帰ってくると、声をかけます。
「おじいさん、ぼくにも、クリスマスのおくりものちょうだい。」
サンタ=クロースは、真っ黒なうさぎの子がましろだと分かっていました。
でも、空っぽのふくろに何か入っていないかなと探してみると、ようやく一粒のたねを見つけ、ましろに手渡しました。
その後、ましろは黒くなった体を元に戻そうと払ったりこすったりしましたが……。
「どうしよう。とれなくなっちゃった。ぼく、ほんとに“ましろ”じゃなくて、べつの うさぎに なっちゃったのかしら。」
ましろは、嘘をついたことを後悔し反省します。
2回目にもらったおくりもののたねを、かみさまにお返ししよう、と土の中に埋めると……、春になり芽が出てきました。
それは、もみの木でした。
ぐんぐんと成長し、12月にはなんと、あまりの美しさで動けなくなるくらい、大きな大きなきらきらと光り輝く木になりました。
そのもみの木は、世界中の子どもたちにとって嬉しい「あるもの」がたわわに実る、特別な木だったのです!
ましろが心を改め、大いなる存在を知ることで、人のために働く喜びを学ぶ姿が、優しさを持って描かれています。
そして、しんとした静けさのなか美しく響きあうベルの音が、どこからともなく聴こえてくるよう。
サンタ=クロースが来るワクワクを胸に、おごそかな心持ちになる1冊です。
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