一本道をテクテク くまがお出かけ 「いってきます」
これは、手や指をつかったあそび「くまさんのおでかけ」のはじまり部分です。
ちいさな子どもたちと、ときにはくまさんの人形を動かしながら、リズミカルに語ります。
この手あそび歌(語り)が絵本になったのが、『くまさん おでかけ』です。
「テクテク」が「とこ とこ とこ」になり、「や、みずたまり 泳いでわたろう」が「おや みずたまり じゃぶ じゃぶ じゃぶ」に。
白い帽子に青いサロペット、赤い靴をはいたくまさんが、とことことこと歩きます。
そのうち、靴を脱いではだしになり、石につまづいてすってんころりん。
でも、いちごをみつけて、ぱくん ぱくん ぱくん。
やまぶとうをみつけて、ぱくん ぱくん ぱくん。
おいしいものは、ちゃんとおみやげに持って帰るのです。
ちいさなちいさな一歩の積み重ね。
その道中には、喜びや驚き、痛みや発見があるようです。
このくまさんの一歩を、ちょっとじっくり見てください!
足跡から、模様のような数字が浮かんできます。
その数字をたどると……およそ100歩!
くまさんは100歩の大冒険をして、おうちに帰ってきたんです。
まっすぐ歩いても一歩。
くねくね歩いても一歩。
木のまわりをぐるぐるまわったら、一歩がたくさん。
子どもが自分で足を運んだ足跡が、今日の道を、明日の道を作ってゆくのですね。
『ぐりとぐら』『いやいやえん』の作者、中川李枝子さんの物語に描かれる子どもたちの「歩む姿」。
子ども(くまさん)がひとりで、しっかりと足跡をつける姿を、あたたかく見守り、見届けたいですね。
そんな思いで、最後のページの干してある靴を眺めると、子どもの一歩がずっとずっと続くような希望に見えてくるのです。
|