体の弱いラーシュ・エリックは、いつもベッドで横になってばかり。
部屋の壁紙を眺めることだけが唯一の楽しみでした。
壁紙には見たこともないような色とりどりのお花や小鳥が描かれていて、ラーシュ・エリックは、いつかこんな花が咲く国へ旅してみたいと思うのでした。
ある日、壁の中からコンコンコンとノックする音が聞こえてきました。
すると突然ドアが現れ、壁紙と同じ模様のワンピースを着た女の子が入ってきます。
ロサリンドという名のその女の子が壁紙のお花に水をあげると、花たちは夏のさわやかな風にそよぎ、鳥たちもさえずりだします。
それからというもの、ふたりは毎日いっしょにあそび、ラーシュ・エリックはぐんぐん回復していきます。
食欲も増し、木登りだってできるようになるのです。
木といっても、ロサリンドが来たときにだけ現れる、壁に描かれた木ですけどね。
守られてばかりいたラーシュ・エリックがお母さんを助けるほど元気になり、自分の足でしっかり歩いていけるようになると、ロサリンドとのお別れの日がやってきます。
ロサリンドには、元気にしてあげないといけない子どもたちがまだまだたくさんいるのです。
でも、毎日いっしょに過ごせなくたって、絆は消えません。
外の世界に飛び出したラーシュ・エリックを、そして大人になったラーシュ・エリックを、ロサリンドはちゃんと見守っているのです。
病気のときにふっと現われるロサリンドは、辛いときだからこそ見えてくる何かがある、ということを思い出させてくれます。
力強く、辛抱強く、人を支えてくれる児童書の力がぎゅっとつまった1冊。
少し休みたくなったなら、ロサリンドの庭をのぞいてみませんか。
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