月の輝くある晩のこと。
チビのフクロウが、
「うっとりねてたら・・・・ おちました」
なにしろ高いところで眠っていたものですから、おちていきます。
どんどんおちていきます。
危ないよ、とみんなが心配するなか、やっとめをさましたフクロウ。
ぼぉーっとした頭で考えます。
「なんで おちてるの?」
そこでようやく思い出すのです。
自分が鳥であることを。
立派な翼があることを。
そして翼を広げ、くるっとまわって無事着地。
「ほっ」
眠っていたものたちがめをさますこの季節。
虫。動物。植物。
自然界だけではありません。
入園・入学。新学期。新生活。
新たな一歩を踏み出す季節でもありますから、私の中の知らない私もめをさます。
新しい環境の中で、とまどうこともあるでしょう。
思い描いた通りには、頭や体が動かないこともあるでしょう。
でも大丈夫。
きっと、「私」の中でめをさました何かが、翼の広げ方を知っていますから。
本人も、そしてハラハラドキドキして見守っている周りの人たちも、きっと最後には「ほっ」とすることでしょう。
「めをさませ」
それは温かくて力強い、エールのように思えるのです。
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