町のおもちゃ屋さんで、あんまりパッとしない存在だった、ちいさなくまのぬいぐるみ。
よかれと思ってやったことが裏目にでてしまう、ちょっぴり「ざんねん」なくまさんです。
格安にされたとたん、かわいい女の子スティーヌに買われることに。
そして、ピエールというすてきな名前をつけてもらいました。
ああ、ピエール。
やることなすこと、なんてお茶目なんでしょう。
なんて、そそっかしいのでしょう。
花壇に使う丸い石を「かたいラスク」や「じゃがいも」だと勘違い。
スティーヌの探していた赤い毛糸が、口から手品のようにどんどん出てきたり。
スティーヌのなくした二十クローネ玉を、まんまるお月さまだと思って追いかけたり。
足の裏にくっついた雪が歩くごとにぶあつくなって、まるで竹馬のようになったり。
まだまだあります。
夏の海では、砂まみれ。
さらに海藻おばけ。
もちろんそんな姿では、スティーヌに気づいてもらえませんよね。
とにかくピエールは、こうと思い込んだらこう!
いいなと思ったら何も疑わずに突き進む!
どこまでもまっすぐなところは、人をヤキモキさせたり、怒らせたりするギリギリ一歩手前(かも)。
ところが、おおらかなスティーヌに、ふわっと抱き上げられて救われる、そんな存在なのです。
イギリスにはプーさんやパディントンがいるけれど、デンマークにはピエールがいました!
50年という時を経ても色褪せない、7つのちいさな物語が、はるばる日本に届きました。
「やらかしてしまう」ピエールに、あたたかいツッコミを。
がんばり屋さんのピエールに、心からの声援を。
そのぶん、誰かにギュッと抱きしめられたような余韻に包まれるでしょう。
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