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書籍名 かげぼうし
出版社 冨山房
著者 安野光雅/作
出版年 1976年
定価 1,650円(税込)

あ ら す じ

絵本を開くと、左と右、2つの世界が描かれています。
左のページは、雪景色のなか、マッチを売る少女の物語の世界。
右のページは、影だけが暮らす、モノクロの「かげぼうしの国」の世界。
2つの物語が、同時に進んでゆきます。

少女は寒さに凍えながら、マッチを売るのにひと苦労。
ところが、見知らぬ男がマッチをすると、雪の上にふたりのかげぼうしができました。
1つ灯せば、美しい影をつくるマッチ。
一度できた影は消えない、不可思議なマッチ。
ついには、ふたりは魔法使いよばわりされ、追われることに……。

いっぽう、かげぼうしの国には、たったひとりの人間がいました。
太陽がでたら、すぐにかげぼうしたちに知らせる役目の、見張り番でした。
平穏な毎日をおくっていたのもつかの間、見張り番は忽然と姿を消したのです……。

この絵本を、左のページだけ読んでいき、右のページだけ読んでいき、と、物語を行ったり来たりしているうちに、このからくりがわかるはず。
さて、見張り番の正体は?2つの世界の入口は?
見えない部分を見ようとする目、語られていない部分を想像する心があればよいのです。
(と、まるで安野光雅さんが、遠くからにっこり笑って呟いているように感じます)

安野光雅さんの絵本を手にすると、隅から隅まで眺めては逆さにしたり、ページを何度もめくったりしながら、時間をかけて自分なりの答えを見つけたくなります。
見つける愉しみ、考える愉しみを味わわせてくれます。
考える、とは、言うは易く行うは難し。
真っ黒な影の向こうに何が見えるのか。
1本のマッチの火から生まれた影は、どうして消えることがなかったのか。
じっと目を凝らして見ようとする、記憶や知識を総動員して考えようとする、そんな一歩となる絵本なのです。




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