ウィリアム・スタイグの絵本にはいつも、独特なユーモアのある世界観が流れています。
登場人物たちはとても一生懸命なのだけど、どこかおかしみがあって、キュートで、読者をわくわくさせずにはいられないのです。
この絵本は小さな女の子アイリーンが、風邪をひいてしまったおかあさんの代わりに、吹雪の中をおとどけものをしにいく……というストーリー。
どこまでも、まっすぐなまっすぐなおはなしなのです。
負けん気の強いアイリーンは、困難にもへこたれずに進んでいきますが、途中、とうとうもうだめかもしれないというときのセリフが大好きです。
「このまま しんでしまったら、もう おかあさんに あえないんだ。やきたてパンみたいに いいにおいのしてた おかあさん」
こんなに実感のこもった言葉は他に知りません。
優しい人たちに助けられて、おかあさんの元に帰ってきたアイリーン。
そのラストシーンも、おかあさんからアイリーンへの愛にあふれていて、二人の絆ににっこりしてしまいます。
身近な人を大切に想い合う気持ち。
シンプルなことを思い出させてくれる絵本です。
|