最初のページには、ぐっすり眠っている男の子。
おつきさまが山の上から顔を出して、おほしさまがまたたきだしたころ、大きなくまが松の木をのぼっていきました。
くまは、とってもおなかがすいているみたい。
松にからまっている山ぶどうをむしゃむしゃと食べていきますが、松の木は重いくまがどんどん上へのぼってくるのが我慢できません。
とうとう、くまをびょーんとはねあげてしまいました!
さあ、そこから始まった夜の世界のドタバタ騒ぎ。
予想もつかない展開に、驚くやらおかしいやら、くすくす笑いながら読んでしまいます。
そして最後のページには、眠りからさめた男の子が。
自分が眠っている夜の間に、こんなことが起きているかも?と思うとわくわくしちゃいますね。
何度か読んだときにふと感じたのは、「日本神話も、こんなイメージで紡がれたお話なのかな?」ということでした。
これまで、神様から大地や国が生まれた……という日本神話のストーリーにいまいちピンとこなかったのですが、こんな風にダイナミックで楽しいイメージと共に生まれていったお話なのかもしれないと、はるか昔の人々に急に親しみを感じました。
そして主人公のくま、とってもイキイキとエネルギーにあふれたいいお顔!
作者アヤ井アキコさんの描く動物たちはとってもかわいくて、動物への愛にあふれているなあと感じます。
いっしょに読む子どもと、大人と、想像力豊かに楽しみたい絵本です。
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