ひゅー どーん どーん たーまやー たーぬやー
クライマックスの花火の絵のあたたかさと迫力!
絵本で、こんなにも胸をうつ花火が描けるなんてすごいなあ。
まだ本物の花火を見たことがない、小さな子の心にも残るに違いありません。
主人公ぽんきちのおとうちゃんは花火職人。
今夜の花火大会で、おとうちゃんが作った花火があがるのです。
夜にはまだまだ時間があって、待ちきれない。
でもおかあちゃんに頼まれて、ぽんきちはおとうちゃんの忘れ物のにぎりめしを届けることになりました。
うきうきと出かけたぽんきちを見て、町の人たちが一人、また一人とついていきます。
ながやのおかみさんも。
かみゆいも。
てらこやのおししょうさんも。
次から次へとついていくから、あっという間に大行列!
そう、ここは(おそらく)江戸の町。
町の中に細かく描かれたさまざまなお店や人(動)物を見ていくのもまた楽しく、たしろちさとさんらしいあそび心がつまっています。
まだまだ本当の花火の時間には早いはずなので、この行列は追い返されるのかなあと思っていたら……。
さすが江戸っ子!
おとうちゃんの粋なはからいに拍手です。
最後のページ、おとうちゃんの肩にのって、おとうちゃんといっしょに夜空の花火を見上げるぽんきち。
この親子の後ろ姿が大好きです。
花火職人は、失敗すれば生命を失いかねない危険な仕事。
火を出せば死罪や追放となる時代もあったそうです。
それでも皆の夢を背負って花火をあげるおとうちゃんが、ぽんきちは誇らしいのだろうなあ。
さあ、皆さんもぽんきちとごいっしょに「たーぬやー」!
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