ぱふぱふ ちゃぐちゃぐ と2台の機関車が、西へ向かって出発しました。
1台は、最新式の機関車。 もう1台は、古いちいさな機関車。
ぱふぱふ ちゃぐちゃぐ と、軽快なリズムで、西へ向かって走ります。
いっしょに丘をこえ、長いトンネルをぬけ、川の上を、鉄橋を、なかよく ぱふちゃぐ ばふちゃぐ と進みます。
雨が降ろうが、雪が降ろうが、風が吹いても、ほこりが飛んでも、ならんで走る2台の機関車。
ああ、2台がまっしぐらに向かう「西」って、どんなにいいところなんでしょう。
ああ、いっしょにリズムを刻んで走る相棒がいるって、どんなに心強いことでしょう。
絵本を駆け抜ける小気味よいリズムが心地よくて、おもわずからだを揺らしながら、こころ弾ませながら、読んでしまいます。
北原白秋を師とし、美しい日本語の詩を数多く残した与田凖一訳の、まるで歌のような絵本。
「しゅっしゅ ぽっぽ」の“Puff Puff Chug Chug”は、この絵本の中では、やさしいひらがなの「ぱふぱふ ちゃぐちゃぐ」。
このわくわくするような音が、長い旅路のあいだ、ずっと響き続けます。
いっしょに、目的地に向かって必ずたどり着くんだ、そんな強い意志すらも感じます。
大げさかもしれませんが、山あり谷ありの人生になぞらえて読みながら、軽やかに、でも力強く背中を押してくれる音のように聞こえるのです。
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