1983年に最初の絵本が発売された、ねずみの家族を描いた14ひきシリーズ。
皆さんも一度は目にしている絵本なのではないでしょうか。
お店では「あっ、小さなころこれ読んでた!」と嬉しそうに話す大人の方もいらっしゃいます。
今日は、14ひきの一家がおもちつきをする日。
朝早くから、おとうさんはまきわり。 おじいさんはかまどに火をくべています。
こどもたちは10ひき兄弟。 家族全員でおもちつきの仕事を分担します。
ふやかしておいたお米をせいろにいれて、かまどでふかして。
きねとうすを運んできて、いよいよおもちつきのはじまり!
ぺったん とったん ぺったん とったん
こねどりも上手にしながら、家族みんなでおもちをついていく様子は何度見ても心躍るもの。
できあがったやわらかくてあったかいおもち、食べたいなあ!
兄弟は、上からいっくん、にっくん、さっちゃん……と数字の順番に名づけられています。
この10ひき、それぞれの性格が全然違うのです。 各ページの文章は短くて、詳しく書いてあるわけではないけれど、絵の中に10匹それぞれの個性が描かれています。
小さな子は絵のすみずみまでよーく見ているので、それを見て自分の好きな“お気に入りねずみ”を見つけたりします。
親になって読むと、それぞれの子の行動が「ああ、うちの子もやるなあ」と共感してしまうことばかり。 とっても子どもらしい、愛しい子たちなのです。
絵の中に描かれているさまざまな“お客さま”もこのシリーズの魅力。
ページをめくる手を止めて、1ページ1ページの絵を親子でじっくり眺めたくなる本は他になかなかありません。
ほのぼのとした世界ではありますが、実は自然の中での暮らしの厳しさも描かれているように思います。
そこで紡がれる家族の営みこそが、作者のいわむらかずおさんが一番伝えたいことなのかなあと感じます。
ずっとずっと、読み継がれていってほしい絵本です。
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