『あんたがサンタ?』この絵本に、解説はいりません。
表紙のサンタ、ぐっすり眠っている子ども(おそらく、クリスマス・イブ。サンタが枕元にプレゼントを置いてくれると信じて「いい子に」眠っている)の顔にマジックでらくがき!
扉(中表紙)のサンタ、子どもを怖がらせる気まんまんの、変なおめんをつけています。
そして、「のりものよい」「ソリからおちる」「日にちをまちがえる」……と、サンタにあるまじき行動の数々。
そこで、ひとこと!「あんたがサンタ?」
どのサンタもヘンなのです。
やることなすこと、おかしいのです。
でもそれは、可笑しみ。
愛嬌。
じわじわと笑いがこみあげて、笑いが止まらなくなって、この人間味のある、ヘンなサンタの応援までしたくなって……。
だから、またはじめから読んだり、好きなサンタの順位をつけてみたり。
半ば中毒気味になりながら絵本を閉じると、ほらまたヘンなおもちゃの絵が!
じっくりと味わう絵本もいい。
または、思い出すだけで、読む前から笑いだしてしまう絵本があってもいい。
笑いが生まれる瞬間、または誰かと笑いを共有できる時間は、なによりの幸せですね。
佐々木マキさんの絵本、と聞いただけで「ユーモア」という言葉が浮かび、からだが「さあ、かかってきなさい」と笑う準備をはじめるから不思議です。
「あ〜、おもしろい」「なんておもしろいんだろう、おしまい」と絵本を閉じる。
説明や感想を求めなくても、からだに笑いがしみ込んで、喜びにあふれてしまう。
そんな幸せをもたらしてくれる絵本のひとつです。
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