高いかしの木のてっぺんに、ひとりでのんびり暮らすスージー。
ほがらかに歌いながら、おりょうりもおそうじもこなす、働きもののりすです。
ところがある日、暴れんぼうのあかりすの1団がやってきて、かわいそうに、大切なスージーの家が奪われてしまいます。
とほうに暮れるスージーが、雨のなか見つけたのは、もみじの木にあるほこりかぶった人形の家。
女王さまが住んでいそうなこの家に必要なのは、そう、かせいふです!
「あたしに もってこいの ところだわ!」と、目の前が明るくなったスージーは、人形の家での暮らしをはじめます。
長いことねむっていたおもちゃの兵隊もいっしょに、ね。
特別なことを望まずに、ていねいな暮らしを営むスージーは、人生のお手本です。
持ち前の明るさと、ポジティブ変換のうまさが、まわりの協力や運を味方にしているかのよう。
住み慣れた家への恋しさを募らせるスージーに、そんな味方たちがひと肌脱ぐのです。
ふかふかのこけのじゅうたん。
おわんいっぱいのどんぐり。
あたたかく部屋を照らすほたるのランプ。
ささやかなものに囲まれた、静かでおだやかな夜がいちばんいい。
冷たい雨も風も経験して我が家に帰ったスージーの寝顔に、読み手の心もすっかりほぐされてしまいます。
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