「わたしのスカート せかいのはてまでひろがるかな?」
女の子のあたまに、ふと湧きおこった疑問。
なんて、心浮き立つ疑問なのでしょう。
みつばちに、かえるに、おはなに……それぞれのスカートが、せかいのはてまでひろがるのか、その答えを求めて女の子は尋ねまわります。
生き物たちの答えは、画面いっぱいに広がるスカートの中に隠されているかのよう。
彼らからふわっとひろがるスカートは、緻密かつ大胆な、朱色をベースにした線画で描かれています。
そして、まるでスカートのひだに心地よくたゆたっているように見える植物や風景を眺めていると、また別の物語が隠れていることに気づきます。
ハイジにドロシー(オズの魔法使い)、ピッピやアナンシ、世界各国の昔話や物語の中で出会ったことのある「誰か」を見つけ出すことができるのです。
著者が、李氏朝鮮中期の女流書画家シン・サイムダンの「菊」や、朝鮮中期の画家・書道家カン・セファンの「蓮」をモチーフに描いた、というこの世界観。
韓国に伝わる伝統絵画を若い世代に伝えたい、という思いがあったそうです。
物語との出会いに、果てはありません。
ひとつの国から別の国へ。
ことばも絵も文化も、物語に乗せて、未知の世界へ、どの世代を生きる人たちをも連れていってくれます。
そんなふうに、出会いと別れを繰り返しながら、世界中を時空を超えて旅することができる魅力があるのです。 |