世界のはてのちっちゃな島にぽつんと立つ灯台。
そこに、あたらしい灯台守がやってきます。
と、ここでわく疑問。
「とうだいもり、ってなんだろう?」
そう、この物語の舞台は、少し昔の、人が灯台をまもっていた時代。
灯台守は、毎日ゼンマイをまいて、ランプをともし、夜の海に光をおくりつづけます。
こんな海の果てでひとりっきりで暮らす灯台守の生活は孤独そう。
でもやがて奥さんも来て、子どもも生まれて……。
毎日表情を変える海と共に、ひとりの灯台守の人生がここで紡がれていきます。
昔、船で航海を続けている人々にとっては、灯台のあかりは本当に支えとなるものだったのだろうなあ。
物語の中でくりかえされる「おーい!……おーい!……おーい!おーい、こちら灯台!」
という言葉と共に、そんなことに想いをはせます。
ソフィー・ブラッコールの手によって描かれたこの世界は、海も灯台も人も、本当に美しく、温かく、何度読み返してもうっとりと見入ってしまいます。
この“どこでもない場所”にある灯台に、いつか行ってみたいなあ。
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