心躍るお話を語ってくれる青年、おしゃべり好きの陽気な床屋さん、熱中してあそぶ子どもたち。
貧乏だけれど毎日を大切に生きている人々が、ある日突然、不機嫌で怒りっぽくなり、口を合わせてこう言いはじめます。
「時間節約こそ幸福への道!」
彼らは、時間どろぼうたちに時間を盗まれてしまったのです。
そこで、もじゃもじゃ頭の不思議な女の子モモが、盗まれた時間を取り返そうと奮闘します。
読み進めていくうちに、きっと多くの人が「時間ってなんだろう」という問いにぶつかると思います。
残念なことに私はまだ、この壮大な問いに答える準備ができていません。
でももし、時間というものが、モモの見たような美しい一輪の花ならば、そして私の心の中にもこんなに美しい花が咲いているのであれば、自分のことが今までよりちょっぴり好きになれそう。
そして、生きていられることをちょっぴりうれしく思えそう。
私にとって『モモ』はそんな体験をさせてくれる本です。
命がたくさん奪われていく。
ひとつの命の誕生って奇跡のようなことなのに。
そんなことを考えずにいられない時は、私たち一人ひとりの時間の源、命のはじまるところへ、モモといっしょに行ってみませんか。 |