ガチョウの夫婦、ポッテリピョンさんのところに生まれた6羽のひなたち。
その中の1羽の女の子、ボルカには生まれつき羽がはえていませんでした。
お母さんはボルカに灰色の毛を編んで、羽に似たものを作ってあげます。
でも、ボルカは、飛ぶことも泳ぐこともできません。
家族が遠いところへ移動した後はひとりぼっちになってしまいました。
その後、ぐうぜん乗り込んだ船で、出会った仲間たち。
ボルカに新しい世界がひらけるのでした。
自分にも、「どうして私はこうなのだろう?」とか「あの人みたいになりたいのに」と悩んだ時期がありました。(大人になった今でもたまにくよくよします)
誰もが、人生の中で一度は抱える問題ですよね。
けれども、何にも飾らない、そのままのあなたを愛してくれる友が1人でも見つかれば、自分を肯定できるようになる。
ボルカのように、居場所を見つけられる日がやってくる。
かつて悩んでいた自分への、そして、これから同じような悩みにぶつかるかもしれない子どもたちへの、作者からの温かいメッセージを感じました。
他の誰とも違う、唯一無二の魅力にあふれたジョン・バーニンガムの絵と物語の世界。
あたたかみがあって、たくさんの豊かな日本語に触れられる、木島始さんの名訳も味わってほしい1冊です。 |