絵本の扉には、大きな緞帳(どんちょう)が。
さあ、『HUG』という舞台の、HUGのある日常の物語のはじまりです。
おかあさんのおなかに手をまわして、ぎゅっと顔を押しつける男の子。
サーカスのピエロを抱きしめるクマ。
大きなマントを広げて、お姫さまを抱きかかえる王子さま。
それから、それから。
HUGしたくなるのは、人だけではありませんね。
自分の楽器を大事に抱える人たちもいます。
いっしょに家を抱きながら運ぶ人もいます。
それから、それから。
この絵本には、文字がありません。
文字はないけれど、言葉がある。
HUGをするそれぞれのシーンに、誰かの物語がある、そんな絵本です。
ひとりで、または、大切な誰かと、そっとこの絵本を開いてください。
絵本を開くたびに、ぬくもりに包まれます。
また、そのぬくもりを感じたいからこの絵本を開きたくなるのではないでしょうか。
そして、そのぬくもりは、自分がひとりじゃないことや、心の中にあるやさしさを思い出させてくれるのではないでしょうか。 |