こまったこまった!
たて笛がない!
明日の音楽会、どうしよう……。
ああ、同じような経験、大人になった今でもときどきしてしまいます。
こんなふうに、自分の持ちものをなくしてこまっている子って、結構たくさんいるんですよ。
でも「わすれものの森」の存在を知ってしまったのは、もしかしてこの本に登場する、小学3年生のツトムくんだけかもしれません。
そこは、わすれものに3日間きづかなかったら、わすれたものが送られてしまう森のこと。
わすれられて思い出されもしないものを集める仕事をする、ちいさな2人のおじさん小人が教えてくれます。
1〜2日目にきづくはずなのに、3日といったら、もうわすれものをしたことさえわすれてしまう時間なのだそう。
わすれものは、森の木にかけられて、いずれ実や花になるのだそう。
ツトムくんは、大切なたて笛を取り戻すことができるでしょうか?
「君たちは、なんでもほしがるだろう?
そのくせ、自分のものになったら、すぐにそこらあたりにほったらかしたり、どこかにわすれてしまったりするじゃないか」
ドキリとすることばです。
ほしいときはそれしか見えないほどなのに、手に入ったとたん、他のモノにも目が向いてしまいます。
モノがあふれている時代。 モノだって「わすれられたくない」と願っていること、わすれられたモノは深い森へ行ってしまうこと、そんな想像ができたら、今よりほんの少しモノに対する姿勢が変わるかもしれませんね。
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