雨がふりだす、ほんの少し前。
あたりを優雅に飛びまわっていたちょうや、元気に追いかけっこをしていた鳥の姿が、サーッと見えなくなっていることに気づきます。
雨がふりだして、少したった頃。
今までさかんに鳴いていたセミの声がやみ、雨の音にすっかりかき消されることがあります。
まるで、雨という布で、目の前の世界がすっぽり覆われてしまったかのように。
子どもたちは、聞きます。
「今までそこにいた鳥や動物は、どこへいっちゃったの?」
「さっきまで鳴いていた虫は、どこに隠れちゃったの?」
と。
心配そうに、不思議そうにたずねる姿をいとおしく感じつつ、この絵本を何度ひらいたことでしょう。
「もぐらは、あなにもぐってしまうんだって。バッタは、草のかげにからだを隠すんだって。」
やさしい口調で、絵本が答えてくれることを、子どもたちに教えてあげることができます。
でも……ちょうちょうのことだけは、よくわからないんです。
ちょうちょうが、いったいどこに行くのか、どうやって雨から身を守るのか、わからないままなんです。
だから、雨があがったあと、外にでて、答えを探しに行きたくなるのです。
雨がふると、決まってわきでる疑問。
その答えをいつか探そうと、喜びに胸がふくらむ時間。
いつも絵本がなにかしら答えをくれる、と思っていますが、答えを探す時間を残してくれるこんな絵本も、いいものですね。
|