日記のはじまりは、11月13日。
母イタチの死を前に、泣き叫ぶ子イタチの姿。
その亡骸に雨が降りつけること数日間、雨の雫や朝露の中に横たわるイタチに群がるのは、さまざまな虫や動物たち。
1つの「死」は、多くの生き物にとっての「生」の源でした。
季節の移り変わりとともに、腐敗し、朽ちてゆくイタチの姿と、命をつないでゆく生き物の姿が、定点観測でていねいに、ときにユーモラスに記録されています。
これは、自然界ではあたりまえのこと。
常に、生と死がとなり合わせで、生と死が確かにつながっているのです。
実際にこの光景を観察しつづけた作者は「小動物の死は、私のなかで思い出に変わったのでした」ということばを残しています。
跡形もなくなったイタチのように、形はないけれど、はっきりと心に残像を残す絵本なのではないでしょうか。
|