昔から、世界じゅうの人々が「あそこにはなにかがいる」と、思いをはせた月。
世界の国のことばで、とりわけ美しい響きを届けてくれる「月」。
月は、たくさんの歌や詩、物語をもっています。
長いはしごをかけて、取りにいこうと考える人がいても、しかたがありませんね。
そして、盗んでしまおうと企むどろぼうがいたとしても。
ふくらんだり、丸くなったり、細くなったり、消えてしまったり……。
こんなふうに、月の姿が変わるなんてことを、いったい誰が想像できたでしょうか。
月の満ち欠けを、物語を語るように、そして、科学的な角度からも伝えてくれるのが、この絵本です。
『ぬすまれた月』オリジナルの誕生は、1963年。 アメリカとソ連の冷戦時代のことでした。
子どもも大人も、兵士も、月は、誰もが見上げることのできるものです。
平等で、公平で、誰のものでもない月を、そして、誰のものでもある月を、安らかな気持ちで眺めたいな、と思わせてくれる1冊です。
|