転んでひざをすりむいて、泣いている子どもに「ちちん ぷいぷい」。
ゴロゴロと雷の鳴る夜に「くわばら くわばら」。
だれに教わったわけでもないのに、自然と口からこぼれる祈りのことば。
きっとよくなる、だいじょうぶ、と自分自身に言い聞かせるやさしさと親しみを帯びた、まじないのことば。
絵本をひらくとあらわれるのは、そんな力強いことばの数々です。
力強いけれど、やさしく美しい。
おもわず、声をださずにはいられなくなります。
そう、これらのことばは、つぶやいた瞬間に言霊が宿るのです。
そして、だれかの心に、自分の傷口に、そっとしみこんでゆくのです。
どの地方で言い伝えられた呪文なのかは、巻末に記されています。
いにしえより伝わる「言霊を幸(さき)わう国」のことばの力を、『つるかめ つるかめ』という、ちいさな絵本が教えてくれました。
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