「にわの小さななかまたち」シリーズは、小さな虫が主人公の、フランス生まれの物語。
はえ(パトゥーシュ)、蚊(フレデリック)、のみ(リュース)など、人間に敬遠されがちな虫の暮らしぶりが、色あざやかに描かれます。
ほたるのキャロルは、みんなが眠っているあいだに目をさまします。
ガウンに、エナメルのくつに、とんがりぼうし。
おしゃれな衣装に身を包み、夜のピクニックにでかけます。
さあ、テーブルにも、食器にも、ごちそうにも魔法をかけて、空のパーティのはじまり!
そう、真夜中は、ちょっと悪いことができる、とっておきの時間なのです。
ぐっすり眠っている虫をカンカンにおこらせてしまっても大丈夫。
虫のいかりは、雲みたいに、すぐに消えてしまうそうですよ。
訳者は、『ファーブル昆虫記』の全訳に力を注いだ、奥本大三郎さん。
虫たちに注がれるまなざしのあたたかさが、ことばの端々から伝わります。
それは、絵本を読む前と読んだ後で、虫の見え方、接し方が変わってしまうほど。
目に入ると手でパッと追い払ってしまう虫にも、思わずほほえみかけてしまう……。
そんな魔法をかけてくれる、魔法の庭でのできごとです。
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