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書籍名 いってらっしゃーい いってきまーす
出版社 福音館書店
著者 神沢利子/文 林明子/絵
出版年 1983年
定価 900円+税

あ ら す じ

なおちゃんという小さな女の子が、朝、おとうさんと保育園に出かけて1日を過ごし、おかあさんと一緒に帰ってくる。
『いってらっしゃーい いってきまーす』は、そんな何気ない1日が描かれたおはなしです。
読み終えると、なおちゃんと一緒に、ごくごく当たり前だけれど、幸せな1日を過ごしたような気持ちになるのです。
おとうさんとの会話やなおちゃんの言葉が、子どもをそのまま絵本に閉じ込めたよう。
本当にいきいきとしているのです。

特におもしろいのが帰り道の場面。
画面はずっと好奇心あふれるなおちゃんの姿を追っていて、おかあさんの顔は見えません。
このおかあさんは、きっと内心「早くしてほしいなあ」と思っているのでしょうし、ニコニコはしていないのかもしれない。
でも「しかたないなあ」と、つかず離れずの距離で見守るおかあさんの後ろ姿からは愛情がにじみ出ていて、「そうそう!」とひとりの親として共感せずにはいられません。
この本を一緒に読む子どもは、なおちゃんのワクワク感たっぷりの行動に共感しているのでしょう。
そして、読みながらなんとなくお互いの存在も感じている……。
読者は、なおちゃん親子と自分たち親子の絆を重ね合わせながら、追体験しているのかもしれません。

1983年に書かれたこの本が、時を経て今も読み継がれているのは、この絵本に普遍的な、大切なことが描かれているからなのでしょう。

この絵本を、私は2人の娘たちと100回以上読みました。
娘が繰り返し「これ読んで」と持ってくる。
100回以上読んでも、読むたびにほっとする。
この絵本の世界に「おかえりなさい」と言ってほしくて、また読んでしまう。そんな絵本です。




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