「ひとには だれでも、 そのひとだけの ちいさないえが ひつようです」
そんなくだりからはじまる『あなただけのちいさないえ』。
テーブルの下で、だれにも気づかれずに本を読んでいる女の子が、教えてくれます。
「わたしは、わたしのひみつのいえ、 しょくたくのしたの わたしのいえ、 わたしだけの ちいさないえにいたのです」
どこを「自分の家」とするかは、人それぞれ。
庭を見渡せる木の上、大きな傘の中、段ボールハウスの中、
おとうさんのひざの上、おかあさんの腕の中、それからそれから……。
家は、だれでも見つけることができる、作りだすこともできる、そんな空間だそうです。
原書のタイトルは”A Little House Of Your Own”。
お気づきでしょうか、ちいさないえの「家」は”home”ではなく、”house”です。
家族がいっしょでも、そうでなくても、自分だけの時間がすごせる場所なら、それが家です。
大人だから、子どもだから、そんな線引きはいっさいなし。
子どもたちにも見えない鍵を渡してあげて、彼らが家にいるときは丁寧に話しかけることが大切です。
自分で見つけた、自分だけの家で、ひとりでも多くの人が、いっときでも、やすらかな時間を過ごすことができますように。
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