主人公のとりは、からを割って生まれる時から、他のみんなと同じことができません。
スイスイ泳ぐことも、上手に歌うことも、空を飛ぶことも。
うきわを使っていっしょに泳ごうとしても、楽器を使っていっしょに歌おうとしても、上手くいきません。
風船を使ってなんとか空を飛べたものの、空気がぬけて草原に落ち、みんなとはぐれてしまいます。
「ああ、どうしてぼくだけ なんにも上手に できないの?」
ひとりぼっちになったとりは、草原で出会った花たちから悩みを聞き、力になろうと、ある提案をします。
「こんなぼくでも だれかの役に立てることが きっとある……」
とりは、来る日も来る日も、自分にできることをしました。
さて、とりと花たちは、どうなったでしょうか?
世の中が大きな不安や悲しみに包まれている時、大切な人たちの顔が浮かびます。
そして、自分にはなにかできていただろうか、これからなにができるだろうか、と考えます。
本を閉じた時、きっとこのとりのように感じることでしょう。
自分なりにできることがきっとある、と。
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