この本は、アーティストであるドン・カ・ジョンさんが「WISHくんの活動」で描いたハガキ絵集です。
「WISHくんの活動」とは、ハガキの表面に書かれたお願い事を絵や詩に表現して裏面に描き、一度ギャラリーに展示した後、それぞれの方に郵送するというものです。
ドンさんのHPのプロフィールによると、過去7,000通以上のハガキを全国に送っているそうです。

この本には、12人の方のお願い事とドンさんの絵と詩が収録されており、ハガキを受け取った後のそれぞれの方の物語が書かれています。
例えば、
「毎晩、ああ今日もおこっちゃったぁと反省の日々。一日くらいおこらない　やさしいママでいられたらなぁ」
というお願い事に対しては、
「僕のお母さんはね　僕が子供の頃　よく怒っていたけど　それとおんなじくらい　優しいお母さんだったんだよ」
という詩と共に、温かい色でエプロンが描かれています。

また、巻末には東日本大震災の復興を願う「復興WISHくん」の絵と詩が6枚収録されています。
この本の表紙もその中の一枚で、
「家を無くし　家族を亡くした子どもたちが　しっかり　生きていけますように」
というお願い事に対する絵と詩です。

ドンさんの活動は、一冊一冊お客さまのご所望に合わせて本を届ける私達の仕事と似ているなと思います。
また、素晴らしい絵本には、読み手が想像する余白があると言われています。
お願い事から想像して描かれたドンさんの絵と詩には、私達の想像力をかき立てる余白があると感じます。

読後、自分の中にある素直な願いに気付くことができる1冊です。