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書籍名 世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ
出版社 汐文社
著者 くさばよしみ/編 中川学/絵
出版年 2014年
定価 1,600円+税

あ ら す じ

「貧乏とは、少ししか持っていないことではなく、
かぎりなく多くを必要とし、もっともっとほしがることである」

2012年、ブラジルで開かれた国際会議がありました。
環境が悪化した地球の未来について、世界各国の代表が意見をのべる場でした。

これといった名案が出ない中、ウルグアイのムヒカ大統領のスピーチが終わると、未来への大きなうねりを感じさせる拍手が起こりました。

志高い、国を代表する人々の前で、彼は世界の現状をまっすぐに捉え、発言しました。
臆することなく、質問をしました。

もしも、インドの人達がドイツと同じ割合で車を持ったなら、息をするための酸素がどれだけ残るか。

全人類が豊かな西洋社会と同じ暮らしをするほど、この地球に資源があるのか。

人より豊かであるために情け容赦のない競争をし、多くを儲けるためにどの国の人々を利用するのがよいかと、そんな眼鏡で世界を見ている一方で、皆が一緒に心をひとつに、という話ができるのだろうか。

目の前にある危機は、実は地球環境の危機ではなく私たち人間の生き方の危機であり、今や当たり前のようになっているおかしな仕組みがうまく機能せず、その悪循環によって生じた危機なのではないか。

大昔の生活に戻ろうというのでなく、よりよい生き方をするために、多くを考え直す必要があるのではないか。
めざす幸せの中身は、私たち自身の生き方ではないのか、と。

給料の大半は、貧しい暮らしをする国民へ。
公邸には住まず、まちから離れた農場で夫人と暮らし、身につけるのは質素な背広にネクタイなしのシャツ。

毎日、農場の動物たちにえさをやり、花や野菜を育て、古びた愛車を自分で運転して、大統領の仕事をしに出かける。
それが、国民に慕われたホセ・ムヒカ大統領でした。

アメリカ大陸の最南端近く、南大西洋に面したウルグアイは、日本の約半分の国土におよそ340万人が暮らす国。
連続再選禁止のこの国で、2010年からの5年間、大統領の任にあった氏のこのスピーチが、世界を動かす言葉として、多くの人の心に響き続けています。




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