「ここは、おかあさんの ひざのうえです」
最初のページに描かれるのは、おかあさんのひざの上にぴったりとくっついて抱かれている男の子。
そこからページをめくるごとに、2人をとりまく視点が変わっていきます。
窓の外にはカラフルな街並み。楽しそうな人たち。
視点はどんどん俯瞰的な広がりを見せ、果ては宇宙まで!
“ぼく”とおかあさんは、ほほえみを浮かべて、ずっと2人だけの世界にいるみたい。
外を見てはいるけれど、外で雨がふっても、何があっても“ぼく”はおかあさんのひざの上で守られています。
小さな子の目は、この絵本の中のにぎやかな風景や高く飛んでいく風船を追いかけているのかもしれませんが、きっと母親の胸に抱かれているような、あたたかい安心感に包まれているのでしょう。
初めてこの絵本を読んだとき、胸の奥で何かがじわじわっとあふれてくるような感覚がありました。
それは、そのときいっしょに絵本を読んでいた、自分の娘たちへの愛情だったのかもしれません。
胎内にいたときとは違うけれど、まだまだ自分と一体感のある乳幼児の時期。
いずれこのひざの上を離れて、飛び立っていくけれど。
その時のために、たくさんたくさん、今はぎゅーっとくっついておこう。
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