主人公は、“はる”。
「わたしが めを さますと さむさは だんだん やわらいできます」
ふゆとバトンタッチをして、何カ月かしたらまた、なつとバトンタッチ。
1年、また1年と、ずっとそれをくりかえしてきたのですが……。
ある時ふと、あきには会ったことがない、あきはどんな子だろう?と、思いをはせます。
決して会うことはないあきに、はるは手紙を書くことにしたのでした。
(はるとあきが絶対に会えないだなんて、気がつきませんでした!)
『はるとあき』は、1年に1通ずつの、ふたりの往復書簡のお話です。
わたしたちはふたりの手紙を読みながら、季節を1つひとつ味わい、その豊かさ・美しさをかみしめます。
いろんな音・におい・色が自分の中にわきあがってくるみたい。
手紙をやり取りしているうちに、ふたりの気持ちはどんどんふくらんで、揺れ動いていきます。
相手の見えない景色を見せてあげたいと思ったり、相手と自分が全然違うと思ってショックを受けたり、どこか似ているよと言われて嬉しくなったり。
小さな子でも、思春期のお兄さんお姉さんでも、きっと共感してしまいますね。
会えなくても、想いを届ければ絆は紡がれていく。
私も遠くの友人に手紙を書きたくなりました。 |