表紙の美しさに、はっと息をのんでしまいます。
エメラルドグリーンの海を見下ろしながらさっそうと飛んでいる鳥たち。
「これは写真?」
写真でも絵でもなく、ひとつひとつが精巧に作られたコラージュだということに驚いてしまいました。
動物の中でもっとも長い飛行距離を飛ぶという、オオソリハシシギについて描かれた『めぐり めぐる』という絵本です。
主人公の“しろぶち”は、仲間と群れになって、北の空へと飛び立ちます。
途中でさまざまな国の湿地に立ち寄り、休憩しながら、地球の反対側までという長い長い旅へ出るのです。
1ページ1ページ、想いをこめて(作者のジーニー・ベイカーさんは、この絵本の制作に10年もの時間をかけたそうです!)コラージュされた絵は、ダイナミックな構図と展開で、地球の雄大さを教えてくれます。
気がつけば自分もしろぶちと一緒に空を飛んでいるような錯覚をおこすほど。
何よりも不思議なのは、誰かが教えてくれるわけでもないのに、移動するべき時がわかり、何の道しるべもないのに迷わずに海を渡ることができることです。
渡り鳥の中には、長距離移動した後でも、いつも同じつがいで子育てをする鳥もいるそうですよ。
動物の力の神秘ですね。
『めぐり めぐる』というタイトルには、渡り鳥たちが地球をめぐって戻ってくるというだけでなく、わたしたち自身も含めた、地球全体の“生命の循環”というテーマが含まれているように思えます。
絵本の最初に登場する人間の男の子にも、最後には変化があって、そこでまた“いのち”について感じるものがありました。
大人も子どもも、この1冊を何度も読み返してほしいなあと思います。
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