『たねのずかん〜とぶ・はじける・くっつく〜』は、福音館書店の「みるずかん・かんじるずかん」というシリーズの中の1冊です。
ページを開くと、さまざまな形をした種がずらっと並んでいます。(ほとんどが実物大です)
そして次のページには、それぞれの種の植物の絵が描かれていて、見比べてみることができます。
いかにも種です、といった見かけのものもあれば、なんだか虫みたい!という形のものや、小さなりんごみたいな形のもの。 それぞれがこんなにユニークで面白い形をしているんだ、と見入ってしまいます。
中には、どんぐりの絵も。あれ、どんぐりって、種なのかな?
それに、フジは自分でさやをひねって種をはじきとばす?
力を持たないはずの植物にそんなことができるなんて!
種たちの戦略に、むくむくと好奇心が芽生えてきます。
でも、この本の最大の魅力は、シリーズ名としてかかげられている「かんじるずかん」であること。
植物画家である古矢一穂さんの文章は、とても言葉少なく簡潔なのですが、詩のようなリズムをもっていて、心地よい。
その言葉を味わいながら高森登志夫さんの緻密な絵を見ていると、お2人の植物への愛情が感じられてきます。
そして、大切に描かれた種たちを見ているうちに、「自分という種は、ちゃんと芽吹けているのだろうか?」と、自分のことを考えてみたり。
感じること。自分の中の気持ちが動くことを、楽しみたい1冊です。
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