こぶたのこぶくんは、とってもはずかしがりやさん。
きょうはアイスクリームを買いにいきましたが、お店についても声がでません。
下をむいて、もじもじしています。
おみせのやぎねえさんが声をかけてくれても、やっぱりもじもじ。
あとから来たお客さんたちが、どんどんアイスクリームを買っていきます。
アイスクリームが、売り切れてしまわないでしょうか?
こぶくんがアイスクリームを買えるかどうか、読んでいるこちらはハラハラ、心配になってきます。 (自分もこんな子どもだっただけに、痛いほど気持ちがわかります。)
「がんばれ、こぶくん!」
そう思ったそのとき。 こぶくんにある変化があらわれるのです。
小野寺悦子さんのリズミカルでどこかのんびりとした文章は、すごくあったかい。
子どもの心にすっと入り込むのがわかります。
そしてきくちちきさんの描くこぶくんの世界は、シンプルな色づかいなのに目に鮮やかで、いきいきとのびやか。
本当に魅力的です。
内またでもじもじしているこぶくんも、地面に鼻がつきそうなほどうなだれてしまったこぶくんも、友だちのために勇気を出せたこぶくんの力強い笑顔も、すべて抱きしめてあげたくなるほど可愛い。
そして最後のページでアイスクリームを無心に食べているこぶくんの顔ったら!
いるいる、こういう顔して食べている子!
お口のまわりが茶色に染まっているのも、どこかの誰かさんそっくりです。
子どもの可愛らしさを見事に写しとっている絵本だなあと感じます。
アイスクリームって、やっぱり特別ですよね。
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