表紙に描かれているのは、ほおをふくらませ、力をこめた顔つきで棒をくわえるひとりのおばさん。
(親しみをこめて、おばさん、と呼ばせてください!)
この人は誰だろう?何をしているんだろう?
初めてこの本に出会った時、わくわくしたことを思い出します。
この人の名前は『メアリー・スミス』。
月曜日の朝、よあけ前のまだ真っ暗な中、メアリー・スミスは棒と、しわしわでかちかちの豆を持ってでかけていきます。
彼女はこんな明け方に、そんなものを持って、何をしにいくのでしょうか?
答えはぜひ、実際に絵本をご覧になってほしいのですが……。
とても現代では考えつかない、大切なお仕事のためなのです。
メアリー・スミスは、歴史に名を残すような功績があるわけではない、一介の女性です。
この絵本を通して、そういった名もなき人々が懸命に働いていた時代に想いをはせることは、とても楽しい時間です。
それだけではなく、人と人の距離が近い、どこかおおらかな社会に生きていた人々をうらやましく感じたりもして……。
何よりも、絵本の中のメアリー・スミス、その人がとても恰好よいんです。
この1冊から、親子でさまざまな会話が広がりそうですね。
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