むかし秋田のかづのというところに、ひさという女の子がいました。
ひさはとてもおとなしい子で、赤ちゃんが犬に襲われていたのを助け、自分が傷だらけになりお母さんに怒られても、なにも言いません。 ある日大雨が続き、増水した川っぷちでずぶぬれになった政吉が「ひさが、ひさが!」と言って泣き続けていました。
それを聞いたお父さんは、ひさが川に突き落としたと思いかんかんに怒り、ひさの家に行きますがひさはいません。その夜遅く幼い政吉から聞き出した話は、川に落ちた政吉をひさが飛び込んで助けだし、自分はそのまま沈んで行ったというものでした。村人総出でひさを探しますが……。
なんとも切ないおはなしです。でもとても素敵なおはなしです。そして無駄のない文章に、いわさきちひろの絵がとても合っています。最後に添えられている著者の文章も合わせて、是非読んで欲しい絵本です。
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