眠れない夜。
たぶんそれは、少し胸がざわつく夜。
心配事や、かなしいこと、苦しい思いで、息がうまくできない夜。
そんな時に、光降る海の中を、ぼんやり歩くことができたら。
これは、そんなひとときをあたえてくれる1冊かもしれません。
夢の世界で、ねぼけまなこをこすりながら見るような、きれいで、澄んでいて、明るい水の中を、ふわふわと波にゆられるように、ゆったりとページをめくる写真絵本です。
「めを つむってごらん
よるがゆめで あかるいよ」
夢の入り口には、こう書いてあります。
綴るのは、国民的詩人・谷川俊太郎氏。
でも、その文字は、明るいあかるい夢の海の中で、とけて消えてしまいそう。
「ゆめはゆらゆら ゆれながら
だれかがねるのを まっている」
ふわりふわりと夢の海の中を進むのは、本をひらいている誰か。
視界の先のどこまでも広がる海は、「写真で人を幸せにしたい」と願いながら活躍を続ける、うみカメラマン・むらいさちさんの、美しい写真。
子どもも、大人も、夢の海へ。
水の世界へ降りそそぐ光で、まぶしいほどのそこでは、どんなものが見えるでしょうか。
その不思議な世界は、どんな手ざわりがして、どんなうたがきこえるでしょうか。
夢の世界へといざなうのは、言葉と写真。
さらにそれを助けてくれる、体操と準備のページも、ぜひどうぞ。
ときどき、表紙カバーを裏返したり、はずしてみたりして、夢の世界のみえかたを変えてみるのも、作者のあそび心を一緒に楽しめますよ。
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